君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか

言わずと知れた、いまや古典ともいえそうなこの1冊。
平成の終わりにまさかの大ヒット。この本を書店の平積みから発見することがあるなんて
想像だにしてませんでした。

中学・高校のころ、何度「推薦の本」として眼にしたでしょう。
ちらっと冒頭を読んでみたことはあったものの、なんだか説教くささと、古臭さを
感じてしまってから、結局読まずじまいで終わっていましたが
今にいたるまで売れ続けているのであるならば、きっと何かがあるに違いない。
読まないのももったいないかもしれない。
そう思って読んでみることとしました。

結論から言うと、確かに少年少女向けに書かれているものですが
少なくとも私にとっては、大人になってからの今、読んでよかったな
と思いました。
当たり前のことを簡単に書く、また、深い教養をさらけ出しすぎずに
大事な要素だけをかいつまんで書く深さは、10代のころの私には
感じ取れなかっただろうと思います。

一方で、先生受けする感想文を、ちょっと頭のよい子なら書きやすい本ではあります。
でも、それこそ感想文コンクールでそこそこの賞を受賞するような感想文を
さらさらと書けちゃう子にはこの本の深さは実は理解できていないんじゃないかな
と思います。わかりはするけど感想と言われても困ってしまう、と感じる子のほうが
実はこの本をよく理解している子なのではという気が、ひねくれものの私などはしてしまいます。

なおこの本には古今東西起こりえるちょっとした小競り合いがエピソードとして書かれており、そこに対しての
先生や、保護者の立ち居振る舞いも書かれています。あくまでそれは、エピソードの一要素でしかないわけなのですが
今時の大人は、同じような出来事に対して、どうするだろうか?
本当にしかるべきことはどこかを見失い、わかりやすくだめなこと、つまり暴力をふるう、とか
ものをこわすとか、そういった表面的なことしか叱らないし、叱れないのではないか。
そんな気もしました。

今この本が売れているということに読み始める前は不思議な気がしましたが、
読み終わってみてからは
むしろ、この時代に80年もの前に書かれたこの本が
売れていることに安堵感を覚えました。
きっかけはなんであれ、まだまだ世の中、まっとうかもしれません。

今日のBGM
(Love Is) The Tender Trap
Frank Sinatra

私を離さないで

私を離さないで
ノーベル文学賞を受賞してから、早川書房は大変な増刷に追われたそうですが
どこの本屋さんでもカズオイシグロさんの本が平積みされています。
多くの人々が受賞をきっかけにはじめて手にされたことと思いますが、私もその一人。
本屋で見かけたときに、恐る恐る読み進めてみたら

なんだこれ、え?なにこれ。
まったくなんのことを言ってるのやらわからない、のに
なんだかどんどん引き込まれるこの世界観。
翻訳ものだから、実際の文体がどんなものかは正確には
わからないわけですが、それでも、きっと、英語の原文も
静謐で、淡白で、それでいて冷徹なんだろうことが想像されます。
文体は静かで、語られている世界も一見静かで、どうということのない世界の
ように「みえる」のに、なんだか恐ろしいことが始まる予感がひしひしと
小説の初めから感じられます

なぞときがわかった結末において、もちろん、これが架空の世界であることは
読者にもすぐわかるわけですが、架空だがありえそうで、
読み終わった後、いろんな思いにふけることができました。

解説を読むにそのほかの作品もなかなか読みごたえがありそうです。
また、どの作品も常に新たな挑戦をされている模様。
外国の作品は、原文で読むには語学力が足りず、
翻訳で読むにはその翻訳文体になじめずに
つい、読まず嫌いになることが多いのですが、こちらの本の翻訳は
実にすばらしい。

決してすがすがしい本ではないのに、読んでよかった、と心から思える稀有な一冊です

今日のBGM
You crack me up
Huey Lewis and The News

テーマ : 読んだ本の紹介 - ジャンル : 本・雑誌

通し狂言 世界花小栗判官

小栗判官

もうすっかりおとそ気分もぬけた感じですが皆様、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

今年は実家で姪っ子1号2号とどっぷり過ごした年末年始でございました。
孫気分で眼に入れてもいたくない、なんて表現がぴったりくるかわいさ(おばばか)ですが
ずっと一緒にいると体力の消耗たるやすさまじい。
あとまあ、ずっと家にいるのも体もなまるというもの。

ということで、歌舞伎にいってまいりました。
菊五郎菊之助がでている小栗代官@国立劇場です。

菊之助さんは私の中でははずれのない絶対な役者さん。
ほかの役者陣も層があつく、菊五郎さん一座は安定感抜群。
物語も実に歌舞伎らしく、笑いあり涙あり、いい意味で奇想天外。
春夏秋冬を華やかに表現されたセットも美しく、堪能しました。

唯一不満は舞かなあ。
菊之助さんの舞はほんと超絶技巧だと思うのですが、
あまり舞を堪能する場面がなかったのがなんともじれったく。
むろん通し狂言であり、かつ、菊之助さんが女形ではなく、判官を演じただけに
しょうがないことで、わかっていたこと。
単なる私のしょうもない、ないものねだりの感想です。

国立劇場は花道がちと短いのがたまにきず、ですが、見やすいし
歌舞伎座よりも安いし、上演終了後新宿、渋谷、東京駅に向かうバスが
劇場前から出ていて帰りも楽々。あとお弁当も安くておいしい。
演目に対する満足度をさらにおしあげる劇場力たるや、さすがでございます。

今日のBGM
The Coffee Song
Eydie Gormé
こちらの楽曲も文句なしのかっこよさです。
冬に聴くボサノバもなかなかです。

テーマ : 歌舞伎 - ジャンル : 学問・文化・芸術

ドリーム

ドリーム

年の瀬が押し迫ってから見る映画演劇は今年のNO1、といいがちですが
これはまさしくNO1といいたくなるすさまじい映画です。
この映画を見て何も思わない人って相当に稀有なはずです。

ここから何を思うか、は人により違うはずですが
でも、みな主要3女性の圧倒的な賢さに圧倒されるはずです。
女性にはガラスの天井がある、というのはよく言われがち。
でも圧倒的に優秀の場合は、天井はまさしく耐熱ガラスではなく、
繊細で薄いガラス、つまり割るのにそれなりのパワーはいるけれど
一定の何かがあれば、割ることができる天井たりえるのだな、というのが
私の率直な感想です。
ただ、一方でそこまで至るのにも、バックにたくさんの人のとてつもない
努力が積み重なっているんだろうな、ということも感じずにはいられませんでした。

本題と全然関係ないところでいえば、こちら助演にケビンコスナーが出演しています。
ケビンといえば、90年代の華々しいハリウッド男優。
ザ・ハンサム、な俳優さん。

私的にはあまりに、ぴかぴかなわかりやすい美形は
好み、ではないため、そうそう彼に着目したことはなかったのですが
いやあこの映画のケビンは激烈かっこいい!
また役への理解もぴか一。
彼以外の男優がこの役を演じるのは想像できない。それくらいはまり役だと
私は思いました。
まさかケビンコスナーをかっこいい、と思う日がくるたあ、思わなかったなあ。

ということで私的には今年NO1の映画、なのですが
これが映画のつくりとして素晴らしいから感動したのか
もともとのエピソードがあまりに素晴らしいから感動したのか
どちらであるのか、は映画にさほどうんちくがあるわけでは
ない私にはよくわかりません。
でも感動と衝撃、両方をこの映画から感じた、のは確かです

今日のBGM
What Are You Doing New Year's Eve?
The Oioles







collecetd

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このアルバムについても触れておかねば
オランダで出たベストアルバムです

ベストアルバム、なんだけどこれまでと違うのは
ディズニー映画のために歌ったOnce upon a time in New York city
とか 今のバンドの前身にあたるClover時代の曲なんかが聴けることです。

で、Cloverのラインナップが実にかっこいいのです
Street of London なんて、今歌ってくれたら超素敵だと思うんだけど。
あといつものHueyさんから考えると異色な
American Express(当初は、バンド名これだったのです。いつでも持ち歩ける
ように、という意味合いでつけたらしいが、ま、やはり商標的にまずいでしょ
ということで今のバンド名になったらしい)時代のExodiscoも、それこそ70年代の
ディスコでかかっていそうなかっこよさ。

日本に来てくれた時のインタビューによれば来年ほんとのニューアルバムがでる
らしいけど(彼は、アルバムをみんなが待ってくれているかどうかは知らないけど
ぼくは出すよ、と笑顔で言ってました。少なくとも私は待ってますから!!!)
これまでの彼のルーツ、や変化球でこれまで映画その他で披露してきた
一曲を楽しめる素敵なアルバムです