富永佐恵子リサイタル

今までもちょいちょい感想をあげさせてもらっている、チェリスト富永佐恵子さんの
リサイタルがさる10月27日、上野の文化会館で実施されました。

仕事の都合で最初の2曲は聴けず、3曲目の、ポッパーのレクイエムから
聴かせてもらいました。
この曲に対する彼女の思いいれが相当であることはわかっていたし
なにより、やはりチェロのアンサンブルってきれいだもの、
絶対これだけは聞き逃すまい、と思っていたのでよかったです。

私はこの曲を聴くのってはじめてだったのですが
レクイエム、という曲名からもっとくらーーい曲を想像していたのですね。
でもこの曲はさほどくらい、ってわけではありません。
そりゃ明るくはないんですけど。
ただ、私は「そうだよな、亡くなった人を思う気持ちはまさに
このメロディーにあらわれている情感そのものだ」と思ったのでした。

大事な人が亡くなるのは確かに悲しい。
でもだからといって、亡くなったその瞬間から
その人との過去がすべて悲しいものにすり変ってしまう
わけではないわけで。
亡くなった人とのおかしな思い出、
じんとくるエピソード、それは生前以上に輝き
貴重な人生の糧として昇華していくものだ、と私は思っています。

そういう、ただ悲しいだけじゃない人間らしい情愛に満ちた気持ちを、
3本のチェロの豊かな音色が
存分に表現していて、ただただ私は圧倒されました。

ここでの余韻を残しつつ最後はラフマニノフのチェロソナタ。
ピアノと醸し出すそのハーモニーの豊かさにこちらも圧倒でした。

アンコールに3回も応えてくれてコンサートはおひらきでした。

このリサイタルは、彼女の師匠のハーヴィーシャピロ氏追悼、
の意味合いがとても深いリサイタルで、曲の選び方も
観客に配られたプログラムもなにもかも、師匠に対する
尊敬と愛にあふれた彼女の思いがぎっしりつまっていました。
彼女のブログにもその熱い思いが面々とつづられていますので
もしよろしければご参照を。

このリサイタルを終えた後、彼女がどういうキャリアをきづいて行こうとしているのか、
・・・もちろん、音楽に並々ならない思いがあり、プライドがあるのは日々の話からも
時に聴かせてもらっているリサイタルでの演奏を聴くにつけてもわかってはいるのだけど・・・
具体的に聞いたりはしていないけれどおそらく、彼女の中でなにか大きな壁を乗り越えて
次のステージに移ったんだろうな、という気がしています。

表面的にはそれはこのリサイタルの終了によってなされているように見えるけど
実はこのリサイタルまでに終えてきた数多くの演奏会や日々の研鑽の積み重ねが
このリサイタルにあらわれたはず。
そう考えると、実は会社員の仕事と音楽家の仕事も通じるところがあるんだよな。
私もがんばらなあかん、と思わされたリサイタルでした。
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