七つの会議

七つの会議
池井戸潤さんの作品は、間違いなく面白く、今回も先を読みたくて前のめりになる、読書の楽しみを堪能できる作品になっています。
多少ネタばらしな話になりますが、この小説の一章一章は、短編の要素もあり、それぞれでひとつ読み切りになっています。しかし、章が進むにつれ、会社が抱えるひとつの闇が見えてくるしかけとなっています。

面白かったけど一会社員として思うのは、今時ここまでの隠蔽に対して誰も違を唱えないなんてことあるかな、ということと、たとえ唱えなかったにせよもっと悩む人間が出てきそうなものだけどな、ということでした。不正なんて悪気がなく、真面目にやってるつもりだった人のところに突然転がり込んできて、はまっていく、というものじゃないのかな、と思うのです。

出世したい、名を知られたい、名誉がほしい。
そういう欲が高い人ももちろん多くいるけど、自身の価値観を壊してまで名誉に走りたくないという人ももっといると思うのですね。あまりにこの小説の登場人物が軸になる八角氏以外その名誉欲に溺れていく人ばかりなのはなんか逆に現実的ではないかもな、と思いました。ま、ヘタにいい人を登場させちゃうと小説として成り立たないのかもしれませんが。

またこういった名誉欲に走る人たちがみな家庭の妻もまた夫を顧みず自らの狭い価値にとらわれているというのも、やや小説的。今時共働きだって多いだろうし、妻のことは大好きで励まされ癒されているけどだからこそ自身の不正をいえない、というパターンもありそうな気がします。
そう、池井戸氏の小説は面白いのだけど、女性の登場が少なすぎるし、引き出しが少なすぎるのよね。まあ少なくても面白いんだからいいっちゃいいんだけど、あれだけの筆力があるのになぜなんだろう。私が読んだ小説類にはたまたま出てこなかっただけかもしれないけど。

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Ta'aroa
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