まひるの散歩



角田光代さんのエッセー。阿川佐和子さんや林真理子さん、佐藤愛子先生(余談ですが佐藤愛子さんはやはりさん、より先生という呼称をつけたくなりますね。私の先生では当然ないんですけどね)といった諸先輩のエッセーとは異なり、同世代ならではの共感ポイントが盛りだくさん、なエッセーです。

例えば我々の世代は一世代上の世代より明らかな違いといえばおばさんと認めたがらないところ、だが今時のイケメンといわれる俳優のよさをわからないところに、歳を感じる、というエピソードや、クリスマスに対する思いや、学生時代のバブルっぷりの鮮烈な記憶だとか、本当に同世代を生きた私の年齢プラスマイナス3、4歳の人間しかドンピシャにはわからない実にピンポイントなエッセーがてんこ盛りです。

いやに食べ物のエピソードが多いなあと思ったらオレンジページに連載しているエッセーだからなのね。食べ物、料理についての語り口も共感ポイント盛りだくさんです。ま、私より売れっ子作家の角田さんの方がちゃんとしたお料理を毎日作ってそうなので、共感なんておこがましいのかもですが。

角田さんにせよ、ちょっと上の山田詠美さんにせよ、西加奈子さんにせよ、文章も当たり前ながらお上手で、構成も見事で登場人物のキャラクター設定も絶妙で何より小説としてすごく面白く傑作であるのに、その昔の作家さんより身近で普通になった気がします。
なんか、居酒屋の隣に普通に居合わせて、文学論なんかじゃなくてごくごく普通に面白かったことや頭にきたことなんかを、初対面なんだけど普通に喋ってじゃあさようなら、またお店で会えたらのみましょう、といって別れちゃいそうなそんな想像がなりたっちゃいそうな、友達のひとりにいそうなそんな想像すらできそうです。
昔ながらのハチャメチャな作家さんの超個性的な小説も面白いけど、普通の人が普通を描いた、普通ではない才能を駆使した小説、エッセーをこうやって味わえて、我々世代はつくづくラッキーです。もしあれもこれも楽しみたい、という、バブルならではの欲張り根性がこういうラッキーをうんでいるのならその点はバブル経済に感謝しなくたゃいけないのかもね、と角田さんのエッセーとは直接関係ない感想で締めてみました。

今日のBGM
Vier Letze Lieder 4lm Abendrot(Straus)
Lucia Popp
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テーマ : 読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

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