おかあさん、疲れたよ

おかあさん、疲れたよ

この本の正しい読み方は、物心ついている中戦争を体験している世代が
そのあとの人生、どれだけ戦争をひきずっていったのか
男のひきずり方、女のひきずり方それぞれに思いをはせること、なのでしょうが
私は小説の合間合間に小説の核となる、夫、昭吾がつぶやく言葉がひたすら
気になりました。

ただしいことを信条にしたらあかん。
どうせ、でけへん。そんな高尚なこと。
たのしいことをしたらよろし。
ただしいとたのしい、一字違いでえらいちがいや。

ホントのことは毒を含む。
人は誰もホントのことなど聞こうとは思っていない。
ホントのことは人をぎょっとさせ、警戒させ、
我に返らせる。
我に返っていいことがあるかというと
何もあらへんねんからな、と昭吾は思っている。

幸福なんてここからここまで幸福、
こっちから先は不幸なんて境界線はないねん


こんな言葉を発するその奥には壮絶な戦争体験があり
思いかなわぬ別れがあるわけだけど
そんな思い入れたっぷりなことはいちいち言わないけど
エッセンスはぐっとつまっているなんとも粋なせりふの数々。

この昭吾と結婚まではせずともずっと思いをつむぎあった
(愛し合うなんて陳腐な言葉じゃ終わらない)あぐりさんも素敵。
私の世代からすると、なんてやせ我慢な人生かしら、と思うけど
おそらくご本人は我慢でなく、自分のモットーに忠実に生きてきた
ということなんだろうということもよくわかり、実にかっこいい。


・・・・一方でよくわかんないなあと思ったのは昭吾の妻。
年下の男にちやほやされて有頂天?で?って私の頭の中は??がたくさん。
彼女のエピソードなどなくても小説は成り立った気もしました。
戦争世代とそうでない世代との人生に対する気構えや
日々の関心事の違いを際立たせるためには、こういうふわっとした
存在も必要だったってことなのかなあ。。。

悲惨な戦争の様子が詳細に書かれていますが
決してお涙ちょうだいではなく、たくましくも力まず生きている
戦中戦後派の生き方はやはり尊敬に値しますし、平和ボケできている
私ら戦争を知らない世代は一生かなうことのない強さをもっている
と認めざるをえません。

いろんなことを自分で考え、選べる今の時代に生きてるからこそ
流されずに、でも力まずに生きていかないとな、とあらためて思わされた
そんな小説でした。

今日のBGM
sleepy.ab
euphoria
スポンサーサイト

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する