愛してよろしいですか

愛してよろしいですか

田辺聖子さんのもう30年近く前の小説。
恋愛に使われる手練手管が、手紙だったり、下宿先の取次電話だったりと
もう今は死に絶えたコミュニケーションツールが出てきたり
独身女に対する、自身と周囲の軋轢もどこか時代がかっていて
私はもう少し楽に生きてるけどなあ、と思うところも多々ありましたが
でも、ついつい強がり突っ張ってしまう、女独特のめんどくさくも
愛しい(・・・と同性は思うんだけど、男性陣はめんどくさいだけ?
なのかしら)一面を、ちょっとしたエピソードの中にさりげなく
入れ込んでいる田辺さんの筆力にまたしてもぐいぐい引き込まれました。

もし私がいつもニコニコ、ふっくらと気弱げなかわいいタイプの女だったら
もっと早くたくさんの男の子が寄ってきたに違いない。でもしょうがない。
私はまじめに生きて、一生懸命仕事をしてきたのだ。おかしくもないのに
ニコニコできないし体はゴツゴツしてぺたんこの胸、豊胸術でもして
ふっくらせいっての!そんなバカなこと、できるはずないでしょ。
とっつきよくしようと考えただけでも顔がゆがむってものだ。
でもそういう自分を内心いいとは決して思っていない。とっつきのいい
女や男にあこがれているのだ


毎日の生活や人生に対し、ちょっとずつ何かしら自分なりの意見をもってる
人間というのは男でも女でも魅力がある


おおそう、そう、と思えるフレーズがここだけでなく
あちこちにあるのも田辺小説の醍醐味。
小説にちりばめられている「小道具」に古臭さは感じるものの
底辺にある、感情や価値観はまったく古びておらず、今に通じる一本の筋がくっと
見えてきます。その筋が見たいがために、今日も気が付くと田辺さんの小説を
開く私がいるのでした。

あと、本筋と関係ないのだけど
小説に出てくるいろんなおいしそうな食べ物も、魅力的。
80年代だとまだまだメジャーではなかったであろう
ブルーチーズやワインなどの逸品も余すことなくでてきて
「帰ってからチーズにワインで一杯やろうかな」なんて誘惑に
もかられるのも田辺小説の魅力(であり功罪)です。

今日のBGM
ただいま
Twin Cross





スポンサーサイト

テーマ : 読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する