プラハ・フィルハーモニア管弦楽団 東京公演 ヤクブ・フルシャ指揮

このすばらしい公演について書かなければ書かなければ、と思いながら
日にちがたってしまいました。
日にちがたつともちろん細かいことは忘れてしまうのだけど
でも公演の感動、ホールの中の不思議な一体感これはリアルに思い出せるわけで。

さて、基本、私は演者の人間性は音楽のすばらしさとイコールではない、
と思っています。
邪悪な人間であっても心を打ち震わせるような音楽をつむぎだすことは
やはりあるわけで、それが芸術のおそろしくも不思議なところ。
でも、すばらしい人間性と才能とが組み合わさったときは
それはもう人智を超える何かが生まれてしまう気がします。
そんなことはそうそうおこりえないのだけど、今回のチェコフィルは
その人智を超えた演奏のひとつだった気がします。

このコンサートはなんとあの震災から1年の3月11日だったんですね。
しかもコンサートの開始は2時。そう地震があった時間とほぼほぼ
イコールな時間から始まったわけです。

そんなシチュエーションもあり
1曲目は指揮フルシャのたっての希望で
ドヴォルザーク作曲・交響曲第9番「新世界より」第2楽章ラルゴ
が急遽追加されそこからコンサートが始まりました

もうおなじみの一曲です。フルシャから日本への追悼と復興に
かける日本への尊敬の念、自分達が音楽家としてできることを
考え新世界のラルゴを加えたこと、演奏後は追悼のため
拍手は控えてほしいという挨拶があり、ラルゴスタート

思いのこもった挨拶の後のしずかな深い旋律に私はただただ涙。
本当に陳腐な表現だけど、あの日のことが走馬灯のように
頭に浮かんできて、でも演奏が終わりに近づくにつれ
復興に向けて懸命に生きている東北の人たちの様子も
頭に浮かび・・・。あのときの涙の意味は自分でもなんとも
表現しようがないんだけどでも涙はとまりませんでした。
同じような人間は会場内あちこちいたようで、すすり泣きも
聞こえたし、ハンカチを目にする人も多数。
思いが伝わる演奏、とはまさにこのことです。

黙祷の後はドヴォルザーク:セレナード ホ長調 op.22
新世界で会場が涙した後に演奏するのにぴったり。

2曲目はチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
バイオリニストは今話題の三浦文彰くん。新進気鋭という
言葉がぴったりな19歳。うまいは当然うまいんでしょうけど
実際のところ、どうなのか。そもそもは彼の音を聴いてみたくて
チケットをとったわけなのですが。

うわさに違わずすごい演奏でした。
・・いや演奏自体ははっきりいってあらあらで突っ込みどころは満載です
素人の私が思うくらいだから、プロの人が聴いたらもしかしたら
あちゃーと目をつぶるシーンも多かったんじゃ・・・。
特に1楽章などはちょっと走りすぎの感がありました。
それでも彼の奏でるバイオリンの音は人をひきつける何かがある、気がしました。
美しいだけでなく三浦さんじゃなきゃ出せない何かが宿っているというか。
まだ10代の段階でいきなりトップギアがかかっちゃった状態なので
これから20代・30代とすぎていく中でどう折り合いをつけて、
音楽家として個性を出していくのか、楽しみでもありこわくもあり。
アンコールのバッハも秀逸でした。

3曲目は
ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 op.
チェコフィルは弦ももちろん安定しているのですが金管木管が
すばらしいんですよね。なんせ有名なバボラーク氏が属している
オケですし。最後をかざるにすばらしいこちらもすばらしい演奏でした。

あまりの演奏のすばらしさに、会場の拍手はなかなか鳴り止まず、オケのメンバーが
退出してもまだなお、拍手がなりやまず、最後もう一度フルシャが出てきて
挨拶をする、というハプニングもあったくらい。

あ~本当にすばらしかった。

ということでここで蛇足。
この2週後、とーーっても有名なピアニストさんのピアノ協奏曲を
サントリーホールに聴きに行きました。
プラハ・・のほうは空席が目立ったけどこちらは満席。
有名どころの曲オンパレードで演奏も完璧。まあよくもこんな難曲を
次から次へと、と感心はしましたし、名曲だけに、綺麗は綺麗なんですけど
心に響くものが何にも残らない。これはプラハを聞いてしまった記憶が
生々しいからなのか、演者のせいなのか・・・
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