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私の大阪八景


簡単なことを難しく書くのは容易だが難しいことを簡単に書くのは難解である、というのは時に耳にし、自身も実感することが多い真実なのですが、この小説はその難解な技を実にさりげなく発揮している傑作です。
時はまさしく戦時中。愛国主義一辺倒の学校教育を一心に受け、ものもなくなり、日々の生活はページをくるに従ってどんどん暗雲立ち込めていくのですが、それでも人々の心の奥底にあるユーモアは決して消えることなく残っている様子が、軽妙な大阪弁のやり取りから伝わってきます。
この暗さと暗い中にあっての一見とぼけたおかしみが、織物のように折り重なっているのがこの小説の醍醐味。
劇的なストーリーに仕上げることもできたはずなのにあえてそれを避け、この味わい深い作品を仕上げられるのはやはり田辺聖子さんの筆の力に依るところが大きいでしょう。大作然としていない大作であり労作だと思います。

今日のBGM
ゴスペラーズ
永遠に
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テーマ : 読んだ本の感想等 - ジャンル : 小説・文学

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