拝啓 愛しき人へ

拝啓 愛しき人へ

作家・俳優・漫画家・・・あらゆるジャンルの人が愛しき人へレターを書いているその
書簡集です。

私が!だったのは
飼い猫への町田康氏のレター
光浦靖子さんの親友にあてた切ない片思いのレター
秋元康氏がなくなったお父様にあてたレター

かな。

町田氏のレターはさすが、です。
面白くも愛しく、そして、その猫の様子がまぶたに浮かぶような
書きっぷり。なにせレターは短いのでその面白さをここに紹介する
のは容易じゃないのですが、猫好きなら読めば必ず膝を打つことでしょう。

光浦さんのレターは・・・これはすごいです。
もともと頭がいいうえに、繊細な人なんだろうな、とは思ってたけど。
ここまで書けるなら何かお笑いではないまじめな本を書いてみても
と思ったりもしました

彼は私のことを何とも思っていない、なんなら好きじゃない、
そう感じてしまう理由はいくつもありました。メールの字数は私の方が多く
返信までの時間は私の方が短く、やりとりは私で始まり、私で終ること。
食事でも何でも、誘うのは私のほうばかりであり、彼からの誘いは日時を
指定しないから、ただの社交辞令で終わるということ。カラオケにいったとき、
必ず私との間に本を置いたこと。狭い居酒屋で、私がトイレに行こうと彼の後ろ
を通ろうとしたとき、これでもか、というぐらいいすをひいたこと。聞いてもいない
のに、「僕性欲ないんですよ」をちょくちょく口にすること。その他いろいろ。
(略)
彼と、仲の良い友人らと旅行に行ったことがありました。自然のきれいなところでした。
偶然、二人きりになれることがありました。空がとてもきれいで、太陽の光が痛くて、
熱くて、でも緑の下は涼しくて、自然というのはとても健全だと思いました。そんな健全な
世界の下で、好きな人を目の前にして、抱きつくこともできないで、我慢ばかりしている
私はとても不健全に思えました。


ね、すごくないですか?
悲しい中でもネチネチしていて、そのねちっとしたとこが相手になんとなく
伝わっちゃって、相手を引き気味にさせてしまう。
そういう悲しい片思いがじわっと伝わってきますよね。

書簡集の最後を飾る秋元康氏のレターもまた絶品です。
正直秋元さんのプロデュースやらなにやらは感心しないんで
このレターも半信半疑で読んでみたんですけど
息子の父に対する複雑な思いがよく読み取れます。
愛しいからこそ行った行動が、相手の本当の思いを汲み取れ
ていない、後悔の残る形になってしまった思いがひしひしと
迫ってくる感じです。

ここに紹介しているのは、いいものばかりですが
それなりに部数を稼がなきゃいけないわけですから、人様にお金出して読んでもらうような
レベルになっていないものも中にはありますが
大半が「ほぉ~」っとうなれるものになってます。

1冊の総合評価となりますと、星5つ、というわけには
いきませんけど、すぐ読めるボリュームですし
きらっと光るレターを読めることを考えれば
読んで損はしない1冊といえましょう。

今日のBGM
Comment te dire adieu
Nadege

吐息のような歌い方が特徴的。
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テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

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