刑務所ワズ

刑務所わず

ご存知ホリエモンの刑務所体験記、です。
刑務所ナウ、も読んだのですが、ナウよりワズのほうが読みやすいし
私にとってはいろいろ学べる1冊でした。

刑務所に入るというのは
普通に考えたら相当に気持ちが落ちることのはず。
ましてや彼は自身で無罪を確信して戦ってきたわけですから
その落ち具合は相当なものだったのでは。

でもそこをただただ耐える、だけで終わらせずに、
経験をちゃんとアウトプットし、結果的に相当の売り上げに変えちゃう
とはさすがとしかいいようがありません。

ただ、おそらくこの記録についていえば
決して売り上げをあげることが「目的」ではなかったんだろうな、と思います。
結果的に売れた、だけであり、彼にとってはなんらかのアウトプットを
出すことを、生活の中に組み入れていくことが刑務所の中での生きがい
だったのではないかなと想像します。

とはいえ、刑務所でできること、も喜怒哀楽の幅も限られてはきます。
よって彼のそれまでの、また刑務所を出た後のいろいろなビジネス本に
比べると、淡々とした事実の積み重ね、つまりは
日々の食事、刑務所内の環境、当番の内容、他受刑者の状況、関係性
行事といった記録に相当のボリュームが割かれています。
しかしながらこうした記録に近いドキュメントを読んでいくだけでも、
日本における犯罪更生の課題がまざまざとわかってきます。

犯罪を繰り返す人の中にはもちろんいわゆる極悪非道な人も
いるのでしょうが(またそうした悪質な犯罪者がいることも、この本からはわかるわけですが)
本の中で堀江氏が繰り返しているように大半はごく普通の人たちで、
経済的な事情や本人たちのスキル、健康状態その他から「犯罪を繰り返さざるをえない」
状況に「なってしまう」ことが、本を読み進めていくうちにじわじわと、実感できてくるのも
この本の特性で、単なる獄中日記にとどまならいゆえんだと思います。

ということで、ホリエモンのことが嫌い、な人にもおすすめ、な一冊です。

今日のBGM
Try A Little Tenderness
Paul Giamatti & Arnold McCuller
スポンサーサイト

近代工芸と茶の湯

国立近代美術館
久々の美術館探訪。
今回は国立近代美術館工芸館
近代工芸と茶の湯展です。

茶の湯というとなんとなく、少なくとも江戸時代よりは前、応仁の乱前後のものが
出てるんじゃないの?という気になりますが
こちらは1970年代が中心の、タイトル通りの近現代の作品が中心。

お椀から茶器、さらにモダンにして伝統を維持している茶室のたたずまいも
見られ、大変充実しています。
なのに入場料はなんと210円(工芸館だけ見た場合ですが)

いやいやこのお値段ではもったいない、というか申し訳ないかぎりの
充実ぶりです。

私のような器好き、は絶対見にいくべき、です。
厳寒が続いていますが本日のようにちょっと寒さが和らぐ日に
お散歩がてら江戸城のたたずまいを堪能しつつ訪れてみることを
お勧めします。

あ、国宝とかどこそこの何某という有名作家の作品じゃないと
見た気がしないという方はおやめくださいね。
あくまで器好き、の方にお勧めの展覧会です。

今日のBGM
Can You Celebrate?
安室奈美恵

小室バブルにあって彼女だけはちゃんと
生き残ってますね。
まあ小室さんもあのバブルから10年すぎて
再評価されてるみたいですけど
あのバブリーな作品群の中から最後
何が残るのでしょうか。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

麗子の足

いまさらなご挨拶ですがあけましておめでとうございます.
今年もよろしくお願いいたします。

さて新年1回目は久世光彦演出の「麗子の足」です
一時、毎年お正月に向田邦子さんの小説や短編を
モチーフにした久世さんのドラマが放送されていましたよね。
これもそのひとつです。

リアルタイムで放送されていた時には、向田さんの脚本というわけでなし
と、あまり注目してなかったんですが、今見返してみるとすごい作品です。
最近はあまり顔を見ない、田中裕子の迫真の演技、森繁の独特の余白
加藤治子の唯一無二の華。

ストーリーも
主役の、・・・なんというか奇妙奇天烈な言動に、
まったくもって共感はできないのだけれど、
でも心の奥底にドラマの残像と余情がずきずきと残る
テレビドラマだけど映画的な余情を残す作品でした。

作品の出来とは直接関係ない感想とすれば。
今この昭和10年代を見ると、なんだか大河ドラマをみているような
仰々しさを感じます。
でもこのドラマがリアルタイムで放送されていた
時には、この手の昭和初期のドラマは
ほんのちょっと昔、な感覚で見ていた記憶があります。

ドラマ中ではみなごくごく普通に家庭内で振袖を着つけていますが
今のご家庭で自分の家で振袖を着つけることができる家など限られている
気がしますが、普段着に着物を着る、ことは私の曾祖母世代にはごくごく普通のことで
振袖は単なる「晴れ着」に過ぎず、着付けなど別にどうということもないものなわけです。
人生折り返し地点にきてみると、おのずと歴史の生き証人になってしまうのだなあという
ことをふとドラマをみていて感じてしまった2017の年明けでした

今日のBGM
はじめてのチュウ
Luv and Soul