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空耳アワワ

空耳アワワ

エッセーというのは読んでてなかなか面白いものだけど、
最近なかなか面白い書き手に出会うのは至難の業になってきています。

林真理子さんなどもエッセーをたくさんお書きになっていますし
私もよく読みますけど、やっぱりどこかスノッブ色はぬぐいきれませんし
(もちろんそれが彼女のエッセーの味で、そこを本人も否定せず
時に自虐ネタもまじえてくれるのが個性、なのですが)
内館牧子さんも文章力はさすがだけど、書かれている意見には
やや首をかしげたくなることも多いし
佐藤愛子さんのエッセーは面白いしさすがなのだけど、
共感、というよりは人生の大先輩にお説教してもらっている感
ありありだし、そうそう、そうだよね、と素直に思えて
素直に笑えるエッセーは今や希少価値といえましょう。

阿川さんのエッセーはそんな中にあってまさに貴重品。
でも貴重品ではあってもそうそうしゃちこばらずに気軽につきあえるのが
彼女の筆の力であり、パーソナリティーの力。

まさに普段着の、彼女ほどの有名人でなくても味わう日々の生活のちょっとした
怒りや喜び、落ち込みがぐぐっと詰まった1冊。
日常のどうということのない平凡な出来事も、筆の力をもってすれば1冊の本に
変身でき、それこそが「プロ」の力ということを実感できる1冊です

今日のBGM
Only You
安室奈美恵
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日本美術デザイン大辞展


前々から見たいと思っていながら中々足を踏み入れられなかったこの展覧会。最終日にやっと訪問と相成りました。

優雅な硯箱や三井家ご令嬢のなんとも優雅な雛道具など、私の大好きな「派手さはないけど優雅な日本工芸品」が目白押し。
その他見所は北斎の絵見本。文字通り絵を描く際の見本として描かれたものらしいですが見本というにはあじがある一冊。

美術館の中も中々風情があり素敵でした。
久々の美術館訪問だったけど美術品を見ると心が浮き立ちますね。他にも行きたい美術展がいくつか出てきたので、ぼやぼやしてないで計画たてて行かなくちゃ。

今日のBGM
Stuck On You
Meiko
これから秋の夜長、っていってもまだちょっと暑さも残りつつある夕べに聴いたらよさそうな一曲

贖罪

贖罪

湊かなえさんの作品2冊目。
こちらもまた、アマゾンの書評コーナーでは告白と比較されまくってました。
下手に傑作を書いてしまうと大変だわね・・・。
どこぞのインタビューで彼女が「告白以外の代表作を書くこと」を目標としている
ようなニュアンスのことを言ってるのを目にしましたが、
変な読者からの呪縛にとわられないで書き続けてほしいな、と思います。

さて件の作品ですが、往復書簡より一言で言って「エグい」作品です。
現実離れした事件が次々に起こっていきます。
こんなにこの4人にだけに次々と・・・思いはするものの
軸になっている事件の凄惨さを思うと「あるかもしれない」という
思いも重なり、そこがなんとも言い難い恐ろしさを醸し出すわけです。

ところで。
どこの書評にもあがっていなかったことで私がひっかかったところが
一か所。それはこの小説のキーマンである、ご婦人の描写。
お嬢様ゆえ、贅沢三昧で、人の気持ちに鈍感であくまで自分中心、
若いころの同世代の友達に靴やら衣装やらを買い与えることにも抵抗を感じない
という様子が描かれているんですが、
何と言いますか、こればっかりはあまりにステレオタイプでかつ、ちょっと興ざめ。
確かにエスカレーター式であがってきた私立出身者には、独特の雰囲気と
傍から見たらなんとも言い難い「他への排他感」がにじみ出ているものでしょうが
もっとわかりにくくオブラートに包んでいる(からこそややこしい)ものだと
私は思うんですけどね。

まあそういう難点はあるにせよ、読み応えのあるそら恐ろしい本、であります。

今日のBGM
わるいひと
奇妙礼太郎トラベルスイング楽団

スイングといってるだけにホーンが利いていて
かっこいいです。
うますぎない(失礼ですね)味のあるボーカルも好き。


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往復書簡

往復書簡

アマゾンの書評を見ると結構さんざんなこの本。
期待していたのにおちが甘いだとか
やはり告白は超えられないとか
読者はわがままで勝手ですな。

私自身は湊かなえさんの作品はこの本がはじめて、
でしたので、十分堪能しました。
おそらくは告白があまりに衝撃的な作品であったがために
この作品で取り扱われている程度(といっちゃなんだけど)エピソード
だと「告白」ファンは物足りないのでしょうね。

逆に告白は、映画の宣伝を見ただけで私などはおじけづいてしまいます。
そこまで重くて衝撃的なものを読む体力はこの極暑の中ありません。

ということで、湊かなえさんに対する期待値0の方はぜひ読んでみてくださいませ。

今日のBGM
Some Nights
FUN

なに言ってるんだかしらないけど、元気がでそうな一曲です。

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温室デイズ

温室デイズ

図書館の神様に引き続き読んでみた瀬尾作品。
図書館の神様のように重いエピソードをあっさり描く作風ではなく
こちらは重いエピソードを重いままに正面からきっちり書ききっています。

でもほかの人がこのエピソードを素材として扱ったらもっと息が詰まる
作品になっていた気もします。リアルなのに本を閉じたくなるようなすさまじい
思いはせずに読み進められるのは作者の作風によるところが大きいのか。

誰かが救われるわけでもなく、何かが解決するわけでもなく
ただ時がたっていき、時がたつことで問題がうやむやになっていくことで
問題が解決していくような錯覚に登場人物も読者も陥っていきます。
その錯覚こそがこの小説の醍醐味であり、真のおそろしさ、なのかもしれません。

今日のBGM
There Must Be An Angel
Eurythmics

オリンピック、終わってしまいましたね。
フレディの画像での出演に涙し、ジョージマイケルの
復活に驚き、そしてアニーレノックスの相変わらずのかっこよさに
ため息の閉会式でした。

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図書館の神様

図書館の神様

なんとも不思議な1冊です。
核になるエピソードは結構深刻。
でもそのエピソードはあくまで添え物であって
むしろ、主人公の日々の地味な生活と、ちょっと浮世離れした
登場人物が軸。
特に主人公の弟と文芸部部員の生徒が秀逸。

きっぱりさっぱりするのは楽じゃん。そうしてれば正しいって
思えるし、実際間違いをおこしてない。だけどさ、正しいことが
すべてじゃないし、姉ちゃんが正しいって思うことがいつも世の中の
正しさと一致するわけでもないからね。


文学を通せば何年も前に生きてきた人と同じものを見れるんだ。
見ず知らずの女の人に恋することだってできる。
自分の中のものを切り出してくることだってできる。
とにかくそこにいながらにしてたいていのことができてしまう。
のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えてどこでもドアで
世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に
飛んでいく。僕は本を開いてそれをする。


ストーリを語るのはちょっと難しいんだけど
こういうさりげなくも素敵なせりふがここかしこに
ある素敵な小説です。

今日のBGM
Longest Time
Billy Joel

峠(っていう言い方は失礼だけど)は超えたころの
作品だけど、この曲とThis Nightは
さすがな一曲だよな~と思います。

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血脈と私

ここ数か月本を読むペースがぐっと遅くなったのですが
この2週間ほどはハイペース。5冊を読破、現在読んでいる1冊もおそらく明日には
読み終わりそうな勢い。

ここ数か月なかなかいい本に巡り合えなかったんですけど、この2週間は
あたりの連続。
何冊か面白い本に巡り合って読破してしまうと、とたんに本を読む
スピードが増すんですね。夢中で本をむさぼるその面白さを堪能できる喜び
は格別です。

ということで今日ご紹介するのは私に本を読む勢いを取り戻してくれた
血脈と私

血脈と私

佐藤愛子さんの長編傑作、血脈を書き終えての作者の所感をつづった1冊。
いろんな雑誌からの抜粋であるためでしょうか、何か所かエピソードなど重複している
ところもありますが、それが逆に作者にとって貴重なメッセージであるのだということを
感じさせる効果にもなってます(・・・やや言い過ぎ&ファンならではの欲目かもですが)

血脈に書かれているエピソードはまごうことない実話で、佐藤愛子さんもその渦中に
巻き込まれているわけですが、のめりこみすぎて客観性を欠くこともなく、かといって
ほどよいリアル感と、登場人物の佐藤さんしか感じ得ない愛情が伝わってくるのが
「血脈」の魅力。このバランスのよさはいったいどこから?と不思議に思っていたのですが
この本を読むとそのなぞが明らかになります。

まずひとつは、
「書くことによって彼らを愛することができるようになった」
ということ。
もうひとつは、人の人生は矛盾を抱えて生きていくということなのだ、という作者の人生観。

人間はみな大きな矛盾を抱えて生きてるっていことなんですね。
もし私が若い時に「血脈」を書いていたら私はその矛盾を糾弾せずにはいられなかったでしょう。
やっぱり65くらいで人間は矛盾を抱えて生きるもんだという認識をちゃんと持つように
なった年代から書き始めたというのが一番よかったと思います。


またこれは「血脈」を佐藤さんが書き上げなくても世間的に知られていることでは
ありますが、佐藤家がいろんな騒動で右往左往している間にも、彼女自身は
蝶よ花よと大切に育てられていきます。
しかし2度にわたる結婚で、彼女もまた大変な苦労を自らしょってたっていくことになります。
その苦労は、壮絶の一言であるわけですが、それでも佐藤さんはこう言います。

トルストイは幸せの形はひとつだが、不幸の形はいろいろあるといったが
幸せの形もまたいろいろあると私は思う。
だから「人も羨む幸せ」というものはないといっていい。
かつて私は両親によって幸福を与えられていた。だがその幸福は自分で作った
ものでなく与えられたものであったから本当の幸せとはいえないものだったのだ。


佐藤さんほどのすさまじい経験はしていないけれど
この言葉には激しく共感。
ごくごく普通の当たり前の生き方しかしていないですけど
でも中学高校時代のぼやっとした生き方に比べれば
自分で自分のことを当たり前に考え決めることができているのは
本当にありがたいことだと思いますし、幸せなことだ、と思います。
もっとも、意識的にそうなったわけではなく、気づいたらそうなっていた
という部分も大きく、そこは自分でもまだまだ、と思っていたわけですが
自分の決断に責任は持つにせよ、流れにゆだねるのも悪くないのかもしれないな、
というのもこの本を読んで思った次第です。

私は孤独だったが、もはや「守ってくれる人」など求めなかった。
自分で自分を守ろうという意識さえ希薄になっていた。
自分を守ろうとするから傷つくまいとするから、損するまいと思うから
いろんな欲を持つから人生は辛いのだ。
流れに身を任せ自分の自然に沿ってあるがままに生きれば楽なのだ。


作家仲間の中山あい子さんからはあんたはエピソードの宝庫だからいいわよねと
うらやましがられたという佐藤さん。
しかしそのエピソードを自分なりの人生観をもって味付けする力がなければ「血脈」という
傑作は書ききれなかったわけで、そのことをこの本は証明している気がします。

今日のBGM
Wonderwall
Oasis

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