幸せなひとりぼっち

幸せなひとりぼっち

別に格段感動的なエピソードがあるわけでもなく、偏屈なじじいに
ちょっと変わったご近所さんのありそでなさそなエピソード、の映画です。
でもなんだか泣ける不思議な映画。

人間所詮運不運、と言ってしまったら身も蓋もありませんが
このじじいを見ていると、悪運は幸運への近道であり
幸運は不幸のはじまりなのだなということをしみじみ感じてしまいます。

悪運続きのじじいが、その悪運をも、幸せに変えてしまう唯一無二の幸運は
奥様との出会い。
でも一方で奥様にまつわるエピソードこそが彼の不幸そのものであり
本当に人生糾える縄のごとし

映画で語られるエピソード自体は結構シビアなものなのにほっこりする
のはなぜなのか。人生にも未熟で人生を語る語彙が不足している私には
なかなかそこは説明できないのですが、見知らぬ市井の人々のなにげない
人生はどれも味わい深い、趣ある景色が描かれているはず。

当たり前だけど価値があるそんな真実を、思い起こさせてくれる素敵な映画です

今日のBGM
Every Breath you Take
Police

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明治座4月歌舞伎

久々の歌舞伎鑑賞。
勘九郎、七之助、菊之助という豪華、かつ達者な演者たちでほんと隅から隅まで楽しめました。
私は昼の部を鑑賞しましたが、演目は
.芦屋道満大内鑑 葛の葉
.末広がり
.女殺し油地獄

葛の葉は七之助が情愛あふれる女狐の役を情感たっぷりに演じ、末広がりは勘九郎がコミカルに軽やかに、しかしながら芸の厚さをしっかり感じさせ、最後の油地獄の油で滑りながら死に至るというシーンは、ほんとに油が目の前にあるかのような錯覚を覚えました。
笑えるシーンじゃ本来はないんだけど客席からはこらえきれずに笑いがこぼれてしまっててなんだかな、と思いましたが、笑いって緊張と緩和からうまれるものなのよね。
そう考えると自然のごとだし、笑いすらひきおこしちょうのはそれもまた演者の力、なのかもしれません。

今日のBGM
Trapped
All saints

テーマ : 演劇 - ジャンル : 学問・文化・芸術

最高の花婿

最強のふたり、もそうだったけど、本音と建て前ぎりぎりの移民ネタ、はいまや一番
フランスがぴったりくるのかな。
観終わって一番に思ったことはそうでした。

最後はなんとなくハッピーエンド風にしてますけど、決してフランス人の奥底に
流れている差別意識は消えてるわけではありません。またスノッブなフランス人に
対しての各人の気持ちもくすぶり続けていることも明白です。
映画という魔法の中では嫌な気持ちにならないで終われるネタですけど
現実生活ではそうもいかないだろうほんとぎりぎりのネタ。

しかしながら、それが映画として成り立っているのはせりふのスピード感
と各俳優の魅力あってのこと。そしてそのせりふを際立たせ俳優陣の魅力
を際立たせた監督の力量あってこそです

それにしてもここ数年、ハリウッド並みにわかりやすいフランス映画が
増えてきましたね。私は小難しいその昔のフランス映画はあまり好きではない、
けどこれ以上ハリウッド化しちゃったら、あまのじゃくで気難しくて、意地悪な
フランス人らしさがなくなりそう・・・なんて思うのは私もやはりあまのじゃくなのかな。

今日のBGM
Back in Time
Huey Lewis and The News





Une Parisienne 殿方ごめんあそばせ

殿方ごめんあそばせ

現代はパリジェンヌ、だが邦題はさすが昭和、仰々しいのう。
B.B,つまりブリジットバルドー主演の映画。

実はわたくしB.Bの映画を見るのははじめてで。
写真でしかB.Bって見たことなくて、さほど彼女の魅力がわからなかったのですが
動いてる彼女を見て納得しました。これはすごいや。
彼女のかわいらしいけどかっこよく、ぎりぎり下品な
着こなしに圧倒されます。

そう、ただお人形みたいにかわいいんじゃなくて
スパイスが利いてるんだよなあ。

ここまで魅力的だと、ストーリーだの演技だのなんて
どうでもよくなります。
中身はまるでないんだけどね。

今日のBGM
Time Ain't Money
Huey Lewis and The News

テーマ : 映画感想 - ジャンル : 映画

ヤクザと憲法

なんとヤクザに画像のぼかしなし、取材による謝礼なし、で密着取材したドキュメンタリーです。
ミニシアターでしか上映されてない映画ですが
連日満席らしい。
実際私が見に行った時ももちろんミニシアター
なんで、満席と言ったって、たかはしれてる
とこもありますが、でも満席でした。

どうやら犯罪っぽいことをしてる様子が伺えたり
幹部に対する組員の任侠映画みたいな
立ち居振る舞いなどいかにもヤクザらしい(?)ドキュメントな
ところもあるし、
やくざといえど意外と普通の生活してるのね、というところもあります。
組長なんて普通に歩いてたら、組長ってわからない、ごく普通のたたずまい。
むしろ紳士的といってもいいかもしれません。

ドキュメンタリーですから、組員が逮捕されたり、担当の弁護士に有罪判決が
なされたり、山はあるけど、結論らしいものは何もです、いつの間にか終わってしまいます。
いつの間にか終わるけど見応えはあり、
普段考えもしなかったことを考える機会にもなるそんな不思議な映画です。

先ほどさらっと、弁護士と書いてしまいましたが、え?ヤクザに弁護士?
とたいていの方が思うのでは。
私もびっくりしました。でも考えてみたら、たとえ犯罪を犯していても
憲法・法律で定められた守られる権利、はあるわけです。
弁護士がついていてもおかしな話、ではありません。

ただ、たとえば犯罪行為が明確であるものに対して、犯罪ではありません
と主張することはできないでしょうし、犯罪を繰り返している場合
いくら守られるといっても罰を受ける覚悟は促してしかるべき、でしょうし
なかなか難しいであろうことは素人考えでも想像はつきます。
何がどう難しいか、なぜその難しい仕事を引き受けたのか、弁護士の口からは
はっきりは語られていなかった気が私にはしましたが、観る人によってこのあたりの
印象や解釈は違ってくるかもしれないです。

人は法の下では平等、と言いながらも犯罪に対して
罰を与えるのは当然で、犯罪を犯している人たちが生きにくくなるのも当然
でもヤクザの家族、たとえば保育園に入れないというのは差別では
ないか。そんな話も出てきます。
そこだけ切り取ればそれはその通り。
でもたとえば犯罪行為が減っていかない中、まわりも含めて圧力をかけていって
力を弱めていこうとしている、場合、そもそも犯罪行為をやめればいいわけで。

また映画の中からはヤクザの世界に入ることで孤独から逃れられた人たちが
いることも映画からはうかがい知ることができます。
だからといって犯罪犯していいというわけももちろんない。

といった堂々巡りが見ている観客の心中には繰り広げられるはず。
世間知らずの私にとっては、言われてみればそうだけど、考えもしなかった
という問題ですが、一定地域の人にとっては身近な問題なのでしょう。

おそらくこの映画を見たとき感じる感想は人によりさまざまでしょう。
それは、ごくごく身近に存在を感じている人と
存在は知ってるが実態は知らない人との距離感の違いがあまりに
大きいがゆえ、です。
知らない人は知らないということを知り、知らないなりに
権利、平等とはどういうことか、堂々めぐりの考えをたまには巡らせてみるのも
よいのではと思います。

今日のBGM
Outside Fearturing Elie Golding
Calvin harris